ご存じですか? 前立腺肥大症の進行は3段階
ご存じですか?前立腺肥大症の病状進行は3段階
今回の記事では、前立腺肥大症の症状の進行についてお伝えします。
前立腺はおもに精液を造る臓器で、膀胱の出口を取り囲むような形で存在しています。したがって前立腺に異常を来すと、排尿や射精に異常を生じるようになります。
前立腺が肥大する原因は男性ホルモンが関係していることは確実ですが、はっきりとわかっていません。
典型的なケースでは前立腺肥大症の症状は次のような3段階にわたって進行します。
第1期(膀胱刺激期)
前立腺が肥大し始めるが、尿道への影響はまだ少ないです。ただし、日中や夜間に若干の頻尿傾向が出てくることも…。
(1)尿回数が増加(特に夜間に3回以上)
(2)尿が間に合わない感じ(尿意切迫)
(3)トイレにたどり着く前に尿が漏れてしまう(切迫性尿失禁)
(4)軽度の排尿困難
(5)トイレに行ってもすぐに尿がでない(遷延性排尿)
(6)尿をしている時間が長い(苒延性排尿)
第2期(残尿発生期)
前立腺の肥大が進み、尿道を圧迫するため、排尿しても残尿が生じます。それにより切迫性尿失禁が起こるようになります。
また日中や夜間の頻尿も強くなる傾向にあります。
(1)お腹に力を入れないと尿が出ない
(2)残尿(50~100ml)
(3)昼間の頻尿
(4)尿閉が突然出現する(お酒を飲んだあと、長時間座ったあと、極度に緊張したときに現れやすい)
第3期(慢性尿閉塞期)
前立腺がさらに肥大して尿道を圧迫します。それにより排尿力の低下と尿道の狭窄が起こり、トイレに行っても排尿できず、尿閉状態が慢性化します。
また知らないうちに少しずつ尿が漏れていく溢流(いつりゅう)性尿失禁が起こることも…。
(1)膀胱の収縮力が低下し、排尿したり、尿意を催すことが低下する
(2)尿がだらだらもれる(溢流性尿失禁)
前立腺肥大症そのものは、早めに適切な治療を行えば、生命にかかわる病気ではありません。
しかし症状が進行し、前立腺肥大症を放置すると、尿中や前立腺に細菌が繁殖する尿路感染、尿中成分が結石化してしまう膀胱結石など、さまざまな合併症が起こりやすくなります。
また膀胱内に多量の尿が残ることで、尿を生成する腎臓に負担がかかり、腎機能障害を引き起こす可能性があります。その状態がさらに進むと生命にかかわる危険な状態となる可能性もあるので、注意が必要です。
前立腺肥大症の進行をとめるには、それぞれの段階において適切な治療を行う必要があります。
前立腺肥大症の症状は前立腺がんでもみられるため、病状が重くないからといって放置すると、前立腺がんの発見の遅れにつながります。
「加齢のせい」と放置せず、できることから対策を始めることが大切です。
もし、排尿に少しでも不安を感じたり、検診などで前立腺肥大症を指摘された場合は、かかりつけ医に相談するか、泌尿器科を受診しましょう。