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前立腺肥大症と暑い夏の過ごし方

頻尿が心配で水分がとれない?!前立腺肥大症と暑い夏の過ごし方

 

今回の記事では、頻尿が心配になり水分を控えてしまいがちになりやすい前立腺肥大症と暑い夏の過ごし方のポイントをお伝えします。

 

今年も、暑い夏が来る。

今年は6月から夏日が続き、こらからとても暑い日々となりそうですね。
そこで誰しもがなりやすく、一番に心配される体調不良が『熱中症』です。

 

熱中症の対策の一番は予防、すなわち水分補給です。
では、どのように水分補給をすればいいのでしょうか? 生活習慣病の方は普段から体重を意識されているはずですが、この時期は特に気にしましょう。
身体から3%の水分が失われると運動能力や体温調節能力が低下し 熱中症になります。
体重50kgの人なら1kg以上減った場合には水分を補いましょう。

 

特に、運動をするときには前後を含め定期的に水分を補います。
入浴も汗をかきますから入浴する前やお風呂から上がった後に水を飲みましょう。
私たちは、寝ている間にも汗をかきます。
普段でも体重50kgの人なら500ml程度、30℃を超えると1000mlほど、気がつかないうちに汗をかき水分が失われていていますので、寝る前と朝起きたときに水を飲むのが良いでしょう。

 

水分をとりたい、でも頻尿が気になる

前立腺肥大のある方は頻尿が気になりますね。
でも夏場は夜間の頻尿もおきにくいですので、水分をとることを躊躇してはいけません。
尿の色や回数を目安し、尿の色が濃くなったり、回数が減ったら積極的に補水しましょう。
とはいえ水を飲みすぎて食欲がなくなったら本末転倒です。基本的には食事の妨げにならないようにすることが原則です。
水分は1回200ml以下とし、こまめに補うことも大切です。
のどが渇いてから飲むと後手後手になるので、口の渇く感じがなくてもある程度時間を決めて 飲みましょう。

 

健康のためウオーキングをする場合は、同時に当分を補うと疲労の予防ができます。
1時間以上の運動をする場合には、4~8%程度の糖分を含んだものがよいでしょう。運動するときには冷えたスポーツ飲料も手軽です。
ただし糖分を多くとりカロリーをとりすぎると、一時的に糖尿病になるペットボトル症候群になる事もありますから注意が必要です。
環境温度が31℃を超えた場合は無理せず運動はやめましょう

 

夏、体に優しい飲み物は?

熱中症に最適な飲み物

 水や麦茶、黒豆茶などのノンカフェイン飲料

 スポーツドリンクなど塩分を適度に含む飲料、経口補水液

 冷たい味噌汁

 

スポーツドリンクには、糖類・クエン酸・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなど、多くの栄養素が含まれています。
クエン酸は、運動によって蓄積される乳酸を分解します。
そのため、スポーツドリンクは水分と塩分の摂取に加え、疲労回復にも効果のある飲み物といえるでしょう。
ただし、スポーツドリンクを飲み過ぎると糖分の過剰摂取となり肥満や虫歯になるリスクがあります。
通常の水分補給にはスポーツドリンクで十分ですが、脱水症状や下痢の症状がある場合は、経口補水液がおすすめです。
水分と糖質をバランスよく含む経口補水液を飲むとすぐに体内に水分が行き渡るためです。
味噌汁は水分に加えて塩分も一緒に摂取できるため熱中症対策に適しています。汗と一緒に流れてしまうミネラルやビタミンなどの補給も可能です。
また、味噌汁を食べると豆腐や油揚げなどの具も摂取できます。豆腐に含まれるタンパク質などによって栄養補給ができるため体力の低下も防げるでしょう。

 

血液には0.9%の塩分が含まれています。汗をかくことで塩分も失われますから、水だけでなく夏場は塩分をとる必要があります。
高血圧の方は普段は塩分制 限をなさっているはずですが、熱中症になるような日だけは塩分制限は忘れてください。
(だからと言って、塩分ばかり摂っては本末転倒です。なにごとも程々が大切です。)
飲み物の塩分の目安は0.1~0.2%程度、つまり1リットルの水に ティースプーン1/3から半分の食塩(1-2g)が適切です。

 

熱中症の予防に適さない飲み物

 アルコール飲料

 カフェインが多く含まれる飲料

 糖分が多く含まれるジュース

 

夏場のビールは喉越しや飲み心地がよいものですが、アルコールの摂取は自律神経を刺激するため、特に尿意を感じやすくなります。
ビールを含めアルコール類はアルコールには利尿作用があるため、摂取することによってトイレの回数が増えます。アルコールは飲んだ分以上の水分を排出してしまうのです。
コーヒー、紅茶などカフェインが含まれるものにも利尿作用があるため、尿がまめになり脱水になりやすくなります。コーヒーやお茶は大量に飲まなければ水分補給になります。休憩時の嗜好品として楽しむ程度にしましょう。
あまいジュースには大量の糖分が含まれています。水分補給として大量に飲むと糖分の過剰摂取になってしまいます。糖分の摂りすぎは病気の原因となる可能性もあるため、熱中症対策の水分補給には適しません。

 

熱中症になった時の対処法

熱中症になったら早めの対処が大切です。

脱力感、倦怠感、めまい、頭痛、吐き気であれば、木陰など涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分を飲ませます。
全身に濡れタオルを当ててあおぐと、水が蒸発することで体温が下がります。
くびや腋の下、股の付け根には大きい血管があるので氷や冷たいタオルをあ てると効率よく体を冷やせます。
症状によっては必要に応じ医療機関で点滴を受けることになります。
しかし、受け答えが悪い、言動がおかしい、意識がないところまで症状が進むと入院することになりますから、そこまで我慢してはいけません。

 

熱中症の予防

 水分を多めにとる(適度に塩分もとる)

 お酒は控えめに(水分補給にはなりません!)

 適度に冷房をかける

 風通しのよい服装をする

 

 

 

熱中症が怖いからと部屋にこもりきりな生活も、ご自身の健康に良い影響はありません。
定期的な運動、バランスのとれた食事、体重管理を通じて健康的なライフスタイルを維持することは、
全身の健康に寄与し、前立腺肥大症のリスクを軽減し、予防できる可能性があります。

 

少しづつでも出来ることから、日常生活を整えるセルフケアを取り入れて、熱中症にも排尿にも悩まない毎日を送りたいですね。

 

 

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